広島国語屋本舗現古館 館長の小林です。
今回は、国語指導の現場で日々目の当たりにする恐ろしい現実についてお話しします。
特に低学年の生徒たちが国語の問題を解く際の思考回路について、具体例を交えながら詳しくご紹介いたします。

1. 低学年生の問題解答における危険な思考パターン
低学年の生徒が国語の問題に取り組む際の行動は、実に恐ろしいものがあります。
彼らがやることは、とにかく傍線部の近くからそれらしい言葉を探すこと、これに尽きるのです。
例えば、「三字で書き抜け」という問題が出たとしましょう。
それがたとえ好きな食べ物について聞かれた問題であっても、傍線の近くに「飛行機」と書いてあったら、それをそのまま書き抜いてしまうんですね。
問題文を読んでもいなければ、その内容も理解していません。
文章の内容は言わずもがな、字面だけ目が追っていて、理解しているものは何もないのに、問題を解いた気になっているんですね。
傍線部の近くを探すとは言っても、前を探すのか後ろを探すのか、そこに方針なんてありません。
指示語があるので前の内容を確認しよう、「このように」というまとめの言葉があるので後ろの抽象化された内容を確認しよう、そんなことは一切は考えません。
与えられているヒントを何一つ見つけることなく、利用することなく、なんとなく文字を流し見しているのです。

2. 文章構造への理解不足が生む学習の停滞
国語の論理的な文章に多い構造として、「序論・本論・結論型」の文章があります。
重要なことが最後に書いてある形式の文章ですね。
この形式に慣れてしまっている生徒は、最後だけなんとなく読んで、なんとなく言いたいことをわかったような気になります。
しかし、文章の構造は尾括型だけではありません。
そもそも事実が羅列されたような説明的文章もあります。
「文章は最後を読んでいればいいんでしょ?」という安易な癖がついていることで、伸び悩んでいる生徒も多いのです。
彼ら彼女らの悪癖を挙げればきりがありませんが、なぜこういった癖に気づけるかというと、やはり普段の授業で口頭試問を繰り返しているからでしょう。

3. 個別指導による思考過程の可視化と矯正
「なぜここを書き抜いたのか」
「なぜここを探そうと思ったのか」
「この問題を考えるとき、どういう手順で考えたのか」
とにかく生徒が考えた過程を具体的に自分の言葉で説明してもらいます。
自分が問題を解くときに、どういう手順でものを考えているのか、そこを明らかにしない限り、考え方の矯正はできません。
特に国語の指導においては、生徒一人ひとりの思考の癖を正確に把握し、矯正していくことが必要なのです。
思考過程を言語化させることで、生徒自身が問題点に気づけるように支援する。
これが口頭試問の威力です。